PROGRAM

スポーツメンタリング概要
実施期間
5月下旬~11月上旬(事前研修・開会式・閉会式を含む)
実施日 月に2回程度
会場 都内スポーツ施設等
参加者 小学生(高学年)と大学生(専攻は問わず)
参加人数 1箇所4~5ペア程度

主催:一般社団法人 Sport For Smile
共催:スポーツメンタリングジャパン
プログラム・パートナー:一般社団法人WERC
協力:Arth Dance Company
助成:ACCJ(在日米国商工会議所)コミュニティ・ファンド

スポーツメンタリングの効果

小学校高学年というタイミングが重要!

虐待を受けた子どもの脳は「やる気や意欲などに関わる部位の活動が低下」することが研究でわかっていますが、スポーツメンタリングに参加すると、自主的に手を挙げて発言したりする子が増えてきます。医学的な根拠はありませんが、結果として起きていることは、「子どもの劇的な変化」です。

 例えば、名前を聞かれても答えられなかった子やメンターが話しかけないと何も話さなかった子が、友達を思いやることまでできるようになって、学校の先生から「何かあったんですか」と聞かれたという事例もありました。また、顔もやせこけて青白かったのに、終わるころには子どもらしい元気いっぱいのはちきれんばかりの笑顔で卒業していく子もいます。

 「お母さんだけが世界で唯一話す相手」というような生活をしている子も参加するスポーツメンタリングでは、彼らに差し伸べられる「思いやり」は、砂漠にいる人が水を見つけた時のように、激しい渇望をもって吸収されます。そして彼らはそれを、「心の筋肉」に変え、強く生きていくためのチカラにするのです。

 30年以上にわたりDV被害者支援をしている専門家によると、そういう経験を小学校高学年でするのが理想的なのだそうです。その効果が最も高く、一度その段階で「心の筋肉」をつけておけば、後で同じようなネガティブな経験をしても、自力で立ち直れるようになる、とのこと。実際、成長しきった中高生やお母さんに同じような効果を期待するのは難しいそうですので、早いうちに、と呼びかけています。

子どもが変わると、お母さんも変わる

実は、スポーツメンタリングで変わるのは子どもだけではありません。子どもが変わることで一番嬉しいのはお母さん。お母さんは、開会式と閉会式以外はスポーツメンタリングに参加することはありませんが、そのお母さんにも、スマイルが増え、素敵な変化が起きます。

 多くのDV被害者家庭のお母さんは、自分がひとりでこの子を守っていかなくては、と気負って生きています。でもスポーツメンタリングを通して、大学生メンターやスタッフに頼ってもよいこと、そして何より、自分の子どもは、思っていたより頼りがいがあったりすることにも気がつくことができるのです。あるお母さんは、閉会式で「これからはもう少し肩の力を抜いて、もっと前向きに生きていこうと思います」とコメントしてくださいました。

 スポーツメンタリングは、より多くの方に機会を届けるため、おひとり1回のみの参加を原則としています。それでも、毎年閉会式のアンケートで「できることなら来年も子どもをプログラムに参加させたい」という項目に最高評価の「とてもそう思う」と回答してくださるお母様がたくさんいらっしゃいます。中には、ぐるぐるの花まるマークをくださる方や涙ぐんで感謝の言葉をくださる方もいらっしゃいます。

子どもに起こる変化を本能的に敏感に感じ取り、そのポジティブな気分もシェアできてしまうのは、「お母さん」の特別な能力なのかもしれません。

メンターにとっても、貴重な学びの機会に

大学生メンターにとっても、元気で純粋な(そして案外オトナな!?)小学生とのふれあいは、新しい自分を見つめなおしたりコミュニケーションスキルを向上させる機会になります。兄弟姉妹で、これだけの年の差があることは少ないため、大学生にとっても小学生との触れ合いは貴重です。ほとんどすべてのメンターが最もうれしいと感じたこと、それは、メンティーを迎えに行ったとき自分の名前を呼んで駆け寄ってきてくれたこと、また帰りに毎回自分の電車が見えなくなるまでずっと手を振っていてくれたこと、でした。

スポーツメンタリングは、小学生メンティーのためのプログラムで、メンティーにとって、「大人ほど遠い存在ではないけれどけんかをしてもかなわない」というちょうどよい距離感で大学生としているのですが、実は、大学生も多くを学び、成長しました。

ある教員志望のメンターは、教育実習では多くのマネジメントする手法を学ぶのに対し、スポーツメンタリングでは、半年間ひとりの小学生と向き合うという、他ではできない貴重な経験ができた、ともコメントしています。

 社会人を目前に迷うことも多い大学生メンターにとっても、自分の存在をこんなにも喜んでくれる小学生の存在は、大きな励みになっていたようです。